登山技術・装備
冬山は危険が多い。年末年始、1,2,3月の連休中、悪天が続くとニュースでは山の事故が数多く伝えられる。事故を起そう、遭おうと思い、山に行く登山者はいないはずなのに事故は起こる。天候の急変による行動不能、道迷い、転落、滑落、低体温症、雪崩など原因は多い。その中でも雪崩に関しては、予測が難しい。冬山登山歴数十年の方でも、雪崩に遭った経験がない人も多いのではないだろうか?つまり雪崩に実際にあえば死亡する確率が高いということだ。雪崩の経験を積みながら生きて山を続けることは、非常に困難であると言える。
昔から冬山の雪崩の危険は、声高く言われてきた。しかし、実際の雪崩に対する知識、装備は現在よりかなり低く間違いも多く、貧弱であった。知識では、今日は気温が高いから雪崩れそう、反対に気温が低いから大丈夫。沢は危険だが、尾根は絶対大丈夫。日の出前なら大丈夫、等と当たり前のように言われてきた。私の考え方では、上記例は、正解でもあるし、間違いの場合もある。ある特定の事象だけでは、雪崩予測は困難である。
また、装備は貧弱でせいぜい雪崩紐を持っていく程度で、シャベルもチームで1つ程度だった。しかもその目的はテントの設営用として持参していた。
現在では、様々な講習会で、雪崩発生のしくみや弱層の種類、でき方など氷雪学的に様々な学習の機会があり、知識も深くなった。装備でも、三種の神器といわれる、ビーコン、シャベル、プローブ(ゾンデ)も多くの登山者、スキー、ボーダーの標準装備となってきた。ここ十年で日本の登山者の雪崩学は急速に進歩した。
しかし、雪崩の事故は相変わらず起こっているし、減少もしていない。これについては、様々な原因があると考える。第一には、スキー、ボードで山にいく方が増えている。つまり、登山者より、いろいろなルート、急斜面、沢に入る人が多くなった。危険な所に行く人が増えたということだ。また、近年の地球温暖化も雪崩事故増加につながっている。温暖化なので、雪が少ないから安全と思われているが、実際は、雪面が日射や寒気にさらされる期間が多いため、危険な弱層ができやすい。その上に新たに上積積雪が積もると雪崩が発生しやすい。また、真冬でも雨やみぞれとなる山域が増え、昔では考えられなかった時期、場所でも氷の層ができたりする。氷の層の上下には危険な弱層ができやすく、新たに上積積雪が積もると雪崩が発生しやすい。また冬、早春の雨が雪崩の直接原因になる場合も多くなってきた。短期間に気温の変動が大きいのも大きな危険要因の一つである。つまり、昔より最近のほうが、雪崩が発生しやすい気候になっていることを認識すべきである。
言うまでもなく、雪崩対策としては、雪崩が発生してからの救助方法より、雪崩に遭わないようにすることが大事である。ここでは、雪崩に遭遇する可能性を低くするために気をつける点を述べる。
1. 積雪があれば雪崩発生の可能性があることを再認識する。
当たり前のことのようだが、理解されていないのではないか。事故のリスクを減らすためには、たとえば夏山で、雨が降ったらどうしますか?と登山者に聞けば、行動を控えるほうが安全だと、誰しもそう答えるだろう。しかし、実際にはこれくらいの雨なら大丈夫と考え、予定どおり行動する人のほうが多いのではないか。同様に積雪があれば雪崩れる可能性があると言葉では聞いていても、なかなか本当には理解できていないのではないか。自分は大丈夫と考えてはいないだろうか。尾根の上でも、弱層がなくても雪崩は起こるかもしれない。比較的積雪の少ないと言われている八ヶ岳でも雪崩はあるし、冬期登攀をする場合でも、シャベル、ゾンデ、ビーコンは必須であると考えるべきだ。冬山では常に自分は今、雪崩の可能性のある所にいるのでは?と確認する感覚を持つべきだ。
2. 弱層テストだけに頼らない。
最近の雪崩講習会の傾向は弱層の見分けに力を入れ過ぎているように思う。もちろん弱層を見つけ、分類し、中から選び決定する能力は必要である。だがそれで十分なのだろうか。
どんな雪にも、弱層はある。他の部分と比較して結合が弱い部分が弱層なのである。問題は、その弱層がどの程度の刺激で、雪崩れるか雪崩れないかなのである。我々は氷雪の学者ではない。登山者である。ある氷雪の学者も弱層は分類できるが、雪崩れる判断は困難であると言っている。つまり弱層だけでは我々がいくら観察、分類できても雪崩予測は無理なのである。
では、あと何が必要なのか?まず、第一は雪の層のなかの様子を観察し推測する能力である。雪の層は地層と同じである。過去の気象がその中に記録されている。この層はいつの降雪か。この期間は降雪がなく、いい天気が続いたので霜ができているのではないか。このあられ層は5日前のものだ。など、過去の天気、積雪量、黄砂、氷板、あられの層などを目印に、どこの層が危険かある程度予測できる能力が必要だ。もちろん標高によって積雪量や降った雪質は変化がある。それも考えた上で予測して山に行くことだ。そうする事により、弱層テストの方法を選んだり、その結果を、より雪崩予測に反映できるはずだ。
第二は、過去の雪崩を参考にすることである。過去雪崩があった場所は、基本的には、地形的に雪崩やすいということだ。今シーズンは雪が少ないから大丈夫と考えるのではなく、山行中に降雪がある場合も予測すべきである。過去の事例は我々に非常に有意義なデータを残してくれている。雪崩を体験し、自分自身の体で学習できないならば、過去の雪崩をもっと有効に利用すべきである。雪崩事故の報告書や、記事は大事な情報源である。
第三は、体で雪を感じ、上記の雪の地層の中身を考え、弱層ができそうな層を考え、弱層テストの結果もふまえ、考えながら行動することだ。最後尾で行動して踏み跡をたどっていては、雪を感じることはできない。まず、とにかく先頭を歩く。靴の裏、わかん、スキーで歩いて、雪を感じることが大切である。
ストック、ピッケル、で周りの雪を刺して崩してみる。弱層テストは数メーター離れれば結果がちがう場合もある。しかし、これならば常に1歩ずつ危険を感じながら行動できる。トレースがあってもわざと新雪の上を行く場合も必要だろう。危険を感じるならば、そこでさらに弱層テストをする必要がでるかもしれない。氷雪的知識をもとに考えながら、足裏感覚を磨くということだ。
もちろん、単独行でないなら最も能力のある人が先頭を歩く、滑る。ということだ。
3. 自分で考え、行動を決定する。
常識にとらわれない。先行パーティのトレース、トラック(シュプール)があるから大丈夫と考えていないだろうか。
年末に新穂高から槍に行ってきた。槍平まではほぼ夏道どおりだが、入山日前に降雪があったことを考え、歩行スピードの遅い我々は、中崎尾根から西鎌尾根を登ってきた。我々が槍平通過時は、飛騨沢には、まったくトレースも無く、他パーティも危険を感じているのかなと考えたが、下山時には、大喰岳西尾根や、飛騨沢の真ん中を登っているパーティ、その後ろにはまたたくさんのグループがトレースを追っている。おまけにスキーのシュプールの跡まであった。気象条件や積雪の状態が良ければ、飛騨沢も安全に登れるかもしれない。しかし、人が作ったトレースを追っていては、雪を感じ、危険を感じる事ができない。またスキーの跡があるから今日は大丈夫と考えていないだろうか。上手なスキーヤーと、未熟なスキーヤーでは、雪面に与えるショックはかなり違う。滑った日時が違えば参考にはできない。本人は意識していないが、結果的には、自分の判断なしに危険地帯を登っていることになりはしないか。自分の安全は、やはり自分で考え、感じた結果で守るべきだ。
最後に 雪崩は予測できるのか?
雪崩はまだだれも正確な予測は難しい。日本では、地域、山域による雪質の違いが大きい。同じ量だけ降っても、日本海側と太平洋側では、安定度が全くちがう。また雪崩が発生する要因は一つではない。複合的な要因、弱層、風、日射、気温、天気、登山者のルート取り、スキーヤーの滑り方、など様々な要因が複雑に絡まって発生する。雪崩は残念ながらまだまだわかっていないことが多い。未知なものには、謙虚に対応すべきである。わからないなら、氷雪学的観察を続け、雪を踏み続け感覚を磨き、そして考え続け、山に行くべきだろう。
1.事前に学ぶ
冬山登山のノウハウを事前に学ぶことは意味がある。目標の山にあわせた装備、技術などあらゆる方法で自分なりに考えて調べてみることだ。雑誌、書籍、溢れる情報の中、目的の山のコースタイム、積雪量、天気、現在の山の写真など簡単に手に入る。また、ガイドブックや雪山ルート集をみれば、危険個所の写真や登り方まで解説してくれている。また遭難事例を読んだり、体験者や、友人知人、先輩などに失敗談を聞くことは良いことだ。しかし、それで充分なのだろうか?
2.事前に学ぶことは、ほんとうに登山者の力を高めるか?
ひとつ質問です。地形図の見方を完璧にマスターすれば、どんなホワイトアウトでも迷わず行動できるか?1/25000の地形図と登山用のコンパスだけでは、どんなベテランでも無理である。地図上1mmの誤差が実際には25mとなり、1km先の峠を目指すのに角度が1度違えば地図上だけで約17mの違いがでる。まして吹雪の山中で地図を手に持ってコンパスをあわせた場合、5度程度の誤差は自然に発生し、誤差は100m近いレベルになる。また仮に角度を正確に合わせても、凹凸のある斜面をまっすぐに進むのは不可能である。このように、読図をマスターするのは重要であるが、冬山で吹雪で迷わないためには何が一番大切か?を考えるほうが大事ではないか?
3.失敗を重ねる
登山は経験が重要である。スポーツ一般では、競技者のピークは体力的なピークに近い。しかし登山では40歳、50歳になっても第一線でヒマラヤ高峰や高難度なクライミングの登山を続けるベテランが多い。これは体力だけではなく、経験が登山の重要な力のひとつだからである。このように経験が登山者の実力アップにはかかせない。私の持論では、人間は自分が体験してみないと本当に理解したとはいえないと考えている。書物でいくら危険を学んでも、実際には充分役にたたない。ヘッドランプを忘れて山に行き、日が暮れて夜道に苦労し、山中で一晩過ごせば、今後絶対にヘッドランプと予備電池は忘れなくなるだろう。マイナス15℃の気温で、素手でアイゼンをつけ、手袋をぬらして凍傷になって始めて、素手になってはいけないと理解するのではないだろうか?稜線で吹雪かれて初めて吹雪かれたらどうなるか解るのではないか。そういう意味で、死なない程度の失敗を重ね、そのピンチを乗り越えることが、その登山者のほんとうの経験になっていく。快晴無風の山頂、トレースばっちりの雪道を10年歩いても経験の蓄積はないのではないか。しかし、死なない程度の有効な失敗の経験を続けるのはたいへん難しい。
4.考える登山者になろう!
失敗をすることにより、人は考えることを身につける。登山で一番大事なことは、判断力である。登山のセンスと言い換えてもいい。このピンチをどうやって通り抜けるのか?自身で予想し考えることが大事である。そういう行為を重ねることが登山者の感覚をとぎすましていくのではないか?
考える登山しませんか?いろいろ考えることこそ、脱初心者の第一歩である。そこで、質問です。あなたの実力、どのぐらいですか?その山にそのルートに行くのに充分ですか?人に聞く前に自分で良く考えて見ましょう。間違っていてもいいのです。その場面で一番大事なことを選んで考える癖をつけること。それがレベルアップの方法です。一回一回の山行をよく考え、センスを磨いて下さい。
山に慣れていない人は、最低1時間連続して歩ける体力と歩き方を身につけるのがいいだろう。1日8時間疲れず、スピードが落ちず歩ける方は、さらに考えを変える事をおすすめする。確かに1時間歩けばそれなりに疲れるので、休みたい気持ちはよく分かる。しかし山では、お天気や、コースの状態、残雪の状態、落石の危険、などの理由で、速く行動しなければいけない場合もある。長い距離をスムーズに行動しなければいけない日もある。そういう事を考えると2時間、3時間休憩なしで歩く訓練も必要だ。速く動くことが、安全につながり、遅い場合、事故につながる場合も多々ある。その日のお天気も良く、十分余裕ある日程の場合、もちろん1時間に一回の休みはもちろん取ってもいい。しかし常にその時間にしばられて行動すると、なかなか、次ぎのステップに上がれない。ぜひとも2時間、3時間休憩なしで歩く訓練もして欲しい。
疲れて座り込むのも問題だ。筋肉にたまった疲労物質、乳酸を除去するためには、座り込んでじっとしているより、動くほうが疲労回復が早い。一番疲れる大腿四頭筋の疲労をとるには、屈伸運動やストレッチをするほうがいい。
日本の登山店で入手できるのでは、大手メーカーでは、シルバーコンパス、スント、などの北欧メーカーのものが信用できます。ザックのファスナーに付ける温度計と一緒になっているものなど、いろんなものがありますが、役に立つのは、ちゃんとリングに0から360までの数字が書いてあり、度数がよめ、回転し、中にオイルが入っているものです。オイルなしのものは、ドライタイプのものは、ドライタイプといい、周囲の磁気の影響を受けやすくおすすめできません。オイル入りのタイプはリキッドタイプといい、低温時や気圧が低い所では中に気泡ができます、が性能に影響はありません。平地、常温に戻れば自然に気泡は消えます。
また海外用のコンパスがあるのは、ご存じですか?いま使っているのは、日本専用?何が違うのか?基本的には仕組みは同じです。ただ、中に入っているオイルの量が多く、極地に近い場所でも針がケースの上下にぶつからないようになっています。メーカーでは、地球を5つのゾーンに分け、日本はゾーン1にあたります。海外に行くのを考慮すれば、グローバルニードル採用の海外対応コンパスをあらかじめ買っておくのがいいでしょう。
最近、新型のヘッドランプがたくさん出ています。私も数えてみると15個ほどヘッドランプ持っていました。そんなたくさんどうするの?と言われそうですが、どうしましょう?当然、山に行くときに持っていくのは1つです。大きくわけて、ライトの光源は3つあります。1つは普通の豆電球、2つ目はハロゲン球、3つ目はLEDです。ここ2年ほどでLEDのヘッドランプが登場し、大きく製品が変わってきました。一般には、LDEタイプは、蛍光灯の明るさで、近く、2〜3mを見るには、非常にすぐれた性能があります。また、たいへん長い電池寿命も特筆に値する高性能です。ただし、それ以上には、光源の光が届きにくいため、ルートを探す、遠くの道を見つけるなどの場合には、ハロゲンのランプが一番すぐれています。軽くて明るいヘッドランプが理想です。今のおすすめは、LEDのランプとハロゲン球がセットされ必要に応じて切り替へできるタイプがベストです。少し大きめになりますが、乾電池も単三が4本のタイプが実用的でしょう。いざというときは、少しでも明るいほうがいいです。そのときに必ず、予備の電池、バルブは必携です。日頃使わない場合が多いですが、山行前には、必ず点灯するか確認をお願いします。
ロープの巻き方
ループにして固定する、振り分けにして固定、肩でまく、手で巻く、いろんなやり方があります。一番重要なのは、次に使うとき、絡まず、スムーズにロープが出るか。です。もちろん早く巻けるほうがいいです。私のおすすめは、振り分けして固定する方法です。バックパッカーズコイルとも呼ばれています。背負って歩くことができる方法です。

寿命と手入れ
ロープは汚れます。細かい砂、泥などは、もっともロープを痛めます。風呂の中に入れて水で洗って、砂、泥を落として下さい。汚れが気になる場合は、中性洗剤を使ってもOKですが、よくすすいで下さい。
日陰で自然乾燥させればOK。ロープを痛めないため、紫外線、バッテリー液などの酸、にご注意。また、もっともロープを酷使するのは、トップロープ(ロワーダウン)です。懸垂できる所は懸垂のほうが、ロープへのダメージは少ないです。しかし、どんなに丁寧に扱っても寿命があります。月2回程度の使用でも2〜3年が限界です。ナイロンが堅くなり、しなやかさがなくなります。当然、衝撃荷重の値も、新品より大きくなります。見た目に痛んでいなくても寿命です。ロープは生もののようなものです。お持ちの方は、しまっていないで、どんどん使わないと勿体ないです。
行動食の選び方
1.自分が好きなもの、疲れても食べやすいもの。
2.出来れば軽くて、腐らないもの。
夏は腐りやすいものが多いので3日以上の長期間の山行には、どうしてもビスケット類などが多くなってしまいます。また冬には、おにぎりなど凍ると食べられない物も、除外する必要があります。また、トマトなど生野菜は、牛乳パックのなかに入れて携行するとつぶれなくていいでしょう。私の体験から、おいしい物は重いという法則がありますので、体力アップすれば、おいしい物を食べれます。
日頃からスーパーなどで自分の好みに会う物を探してみて下さい。
消毒薬(イソジンが一番いいようです)
解熱沈痛剤(バファリンなど)
風邪薬
バンドエイド
ビバークシート(薄いアルミの袋)
滅菌ガーゼ
テーピングテープ(5cm幅の新しい物)
ツエルトもしくはシュラフカバー
夏山では以上のもので十分でしょう。薬など携帯に便利でかつ濡れない容器で携行しましょう。
これに対してより困難なクライミングの場合、安全を確保するため1人ずつ登り、その間お互いに確保しあう方法をスタカットと言います。最初に登る人をリードする人(トップで登る)、2番目、3番目に登る登る人は、セカンドでのぼる、またはフォローすると言います。当然リードする人には高い登攀能力が必要です。
〜ATCの使い方〜
エイティシーと呼びます。9ミリロープ11ミリロープ共に使えます。主にトップの確保、トップロープの確保(クライミングジムでよく皆さん使っています)に使います。懸垂下降もできなくないですが、非常用と考えたほうがいいでしょう。懸垂下降には、エイトカンがやはり一番使いやすいです。ATCには必ず安全環付きの専用(洋梨型)のカラビナを使って下さい。登っている人側のロープが上で、残っているロープが下に出るようにセットします。
〜8の字結び(エイトノット)〜
ハーネスへロープを結ぶ方法の一つ。現在はこのエイトノットが主流になっている。それ以前は日本の登山界ではブーリン(ボウライン)結びが主流であったが、リング加重時の結びのほどけや、末端結びが必要なことなどから、近年はエイトノットが主流となっています。ロープの結び方の第一歩は、エイトノットです。まだの方はぜひ覚えて下さい。
ロープワークの基礎技術2
〜自己確保〜
自己確保とは、文字道理自分の安全を自身で守る確保です。多くの方は、セルフビレイまたは、セルフと呼んでいますが、正式には、セルフビレイとは、行動中にも自分自身を守るために取る動作のことで、たとえば、雪上で、ピッケルを付く、岩場のクサリ場を通過する場合、クサリを持って行動する、等もっと大きな意味で安全を確保すると言うのがセルフビレイです。一方自己確保とは、確実な支点(アンカー)に自分を結んだものが、自己確保です。ロープを使って登る場合は、必ず正しい自己確保が取れるように日頃から練習が必要です。
〜コールの方法〜
スタカットクライミングは、安全を確保するため1人ずつ登り、その間お互いに確保しあう方法です。最初に登る人をリードする人(トップで登る)、2番目、3番目に登る登る人は、セカンドでのぼる、またはフォローすると言います。当然リードする人には高い登攀能力が必要です。その場合、お互いのコール(かけ声)が重要になります。コールを間違えたり、勘違い、思いこみして勝手に登ったり、自己確保を解いたりすると、大きな事故につながります。
手順
トップが上のビレー点に着き、アンカーを作り、確保体制を取り、余ったロープを引き上げ、あまりロープが無くなってから、
◆「登って来て下さい!」
と大きな声で、コールして下さい。
セカンドの人は、ビレーを解除し、自己確保を解いて
◆「行くよ!」
と返事して下さい。
この方法だと、各自、1回のコールで済みます。
ビレー解除!という言葉を岩場でよく聞きますが、勘違いの原因となりますので、ビスタリクラブでは使いません。
〜クライミングシューズ〜
スポーツクライミング用とアルパインクライミング用があります。メーカーでは特に区別していない場合もありますが、踝付近まであるのが、アルパイン用、スリッパタイプのが、スポーツ用と考えていいでしょう。アルパイン用は1日中はく場合が多いのと、疲れが少ない様に、靴下をはいて少しゆとりのあるサイズで、底が固めのものがいいです。スポーツクライミング用は、素足ではいてややきつめのものが、細かい足場にも立て、足裏の感覚が優れています。底は柔らかめのものが多いです。
ビスタリクラブでは、最初に購入される場合は、アルパイン用のものを購入し、クライミングの基礎を覚えてから、難しいルート用に、スポーツ用の靴を購入するほうがいいでしょう。
アイゼンは、ふつう、12本爪を使用します。4本、6本、8本、10本爪とたくさんの種類がありますが、8本爪以下は、ハイキングや夏の緩い雪渓上での使用に限定されます。10本爪でも、前爪の出歯があるものを選んで下さい。12本爪のものは、前がテープ式、後ろがワンタッチ式のバックルになっているものを選んで下さい。
冬山で、吹雪かれているときにも、足場が悪い所でも、確実着脱できるよう、家で練習して下さい。昔からのバンド式は、ワンタッチアイゼンが着かない場合は仕方ありませんが、装着に時間がかかり、バンドが凍り着いたり、ゆるんだりのトラブルが多いためおすすめできません。最近の冬靴は、ほとんどのモデルで、ワンタッチアイゼン対応となっていますが、購入の場合は念のため、お店に靴持参し、できればサイズも合わせてもらって下さい。
アイゼンワークの基本は、爪をすべて有効に使う、フラットフィッティングです。登り、下りともこれが基本となります。足首、膝の柔軟性とちょっとしたコツが必要です。実際雪の上を歩いての練習が必要です。
滑るのを防止するためにアイゼンを付けるのですが、アイゼンを雪面に引っかけたり、アイゼン同士、アイゼンとスパッツ、バンド等とぶつけ合い、爪を引っかけ転倒することが多い。これを防止するため、
1.足をまっすぐ上に上げる。意識して爪を 雪面や岩に引っかけないように。
2.両足を肩幅ぐらいに開き、両足の間に必 ず、靴1足分のスペースを持つ。
3.歩幅を普通より小さくする。大股で歩く のはバランスを崩しやすい。
以上の点に注意して歩行して下さい。
アイゼンワークを身につけるには、回数が必要です。頭よりも、体にしみこませる必要があります。
ピッケルワーク その1
ピッケル(アイスアックス)は、アイゼンとのコンビネーションでより安全に雪面の歩行ができます。みなさんピッケルと言うと、すぐ滑落停止のイメージで、ピッケルは転んで滑ってから止めるための道具と思いこみがちですが、一番重要な役目は、転倒の防止のため、バランス保持が、ピッケルの一番重要な役目です。雪壁や氷を登る場合は、シャフトも持ち、ピックを打ち込む登り方がありますが、ここでは、雪上の歩行について書きます。
歩行時、ピッケルは必ず山側に突きます。ですから右左とも持って動けるようにして下さい。よく利き腕のみで持つ人がいますが、転倒防止のためには、山側に突かないと意味がありません。よく岩登りの場合、3点支持で登ると言われます、両手、両足の4点のうち、3点を固定して残りの1点のみを動かすやり方です。そうすれば3点のうち1点が滑っても、残りの2点で体を保持できる可能性が大きいです。歩行の場合も両足と山側に打ち込んだピッケルを3点と考え、このうちの1点のみを動かし、残りの2点をスリップに備えます。両足のみの2点でしたら1点を動かしているとき、残りの1点がスリップすると止めようがありません。2点を固定していれば1点が滑ってもバランスを崩す程度で済みます。そのためには、ピッケルを確実に山側に打ち込み、足と同じようにスリップに対して備える支点としなければなりません。
また、バランスを崩した場合、そのまま重心が高いと滑落してしまいますので、とにかく重心を低くして(しゃがみ込むように)対応します。とにかく、滑り出す前に止まる、というのが重要です。すべりだしたからの、滑落停止技術も重要ですが、滑り出す前に止める。のが、最重要の点です。
また、スキーの魅力はその移動の早さです。傾斜がなく、ストックでこぐような場合でも、歩くよりは数倍はやく移動出来ます。もちろん下りなら、3時間かかる所も、10分ほどで下れるでしょう。スキーのスピードは、人間がエンジンなどを使わず出すことの出来る最大の早さです。最初はゲレンデでの練習が必要ですが、いったん身に付ければ、自転車に乗るようになかなか忘れない技術になります。このあたりがクライミングと違い、たいへん良いところでしょう!目指せ、オートルート!!!